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属国の防衛革命

■混迷せる日本の改善策への指針が遂に出ました!

『属国の防衛革命』です。

元内局にして民主党から出馬経験のある太田述正氏の意見を土台にして、兵頭
二十八氏が属国となっている“戦後日本の業(カルマ)”の因果律を解き明か
し、今後、生起するであろう特定アジアによる間接侵略・直接侵略へのサバイ
バルの方法論をそこはかとなく伝えて来ている・・・一風変わった本です。

先ずは、かの『孫子』の有名な冒頭には、「兵は国の大事なり。死生の地、存
亡の道、察せざる可からざるなり」とあります。

「兵は国の大事なり」・・・よって、このことは、独立国なら自主・自律の問
題であり、それぞれの国がそれぞれの国なりに主導権を持っているものであっ
て、他国のご意向やら、他国の管理下に置かれるものでは決してないのだ!
・・・ということは、あなたには、常識であり、分かりきったことかも知れま
せん。

しかし・・・、みなさんが頭で捉えている以上に、本書が指摘している日本に
おけるこの“兵”=“防衛”が直面している問題とは、防衛が「国の大事」で
ありながらも、現実的には、「国の小事」にして済ませて来た・・・というこ
とから由来する“因果応報”の原理に基づいている「ヘタレな現状」そのもの
なのです。

即ち、日本の防衛とは、日本が“自主的”、“自律的”に成立させているもの
ではなく、実際には、「他人頼りの姿勢=米国頼りの姿勢」を戦後一貫して継
続し、いざ有事となったら・・・本当は、「他人任せ=米国任せ」になってい
るものであり・・・「本当は、いざとなったら、まともな防衛なんぞ出来ませ
んよ!」ということ・・・「これは、否定できない事実なのですよ!」・・・
と言っているのが本書なのであります!


■方法論や思考法の開拓にいざなうことが書いてある

このような厳しい指摘に溢れる本書は、日本が本当の独立国ではなく、米国の
「属国」に他ならないのである・・・そして、その属国の状態には米国に強制
されているのではなくて、日本が進んでなっているのだ・・・という現代日本
の特殊性について解説し、その問題点を指摘することで、その対抗策、即ち、
今までの慣習はもう卒業しなさい、属国から解脱するためには、そろそろ真剣
に、身をもって取り組みなさい・・・という大多数の日本人が今まで考えて来
なかった「防衛における革命的思考とその実践」へと導くものとなっています。

そもそも・・・日本の防衛について、“素直に”かつ“冷静に”「彼を知る前
に己を知る」ということに努めるならば、この己自身の有する実相とは、一体
如何なる姿として浮かび上がって来るものでありましょうか?

そして、その現実が突きつけられたならば、逃避せず諦めず、現実は認め、
次に、如何にして突きつけられた厳しい現実を自分で進んで改めなければなら
ないのか・・・「君子過ちて後改む」そして「君子豹変す」ということ・・・
即ち、日本が独立国家としての、“現実の問題解決“=”防衛革命“を如何に
して実践すればよいのか・・・その方法論や思考法の開拓にいざなうことが
書いてある・・・これが本書のセールスポイントでありましょう。

肯定的/否定的な日本の現実を認め、肯定的/否定的な日本に関する情報を、
自分の好悪的感情、希望、願望、憶測などに左右されずに、自分の脳を使って
科学的に解読する“リテラシー”を以て読み進めて行くよう求められるのが
本書の特徴であり、そうすれば、みなさんには、読後、何倍にもなって効果が
自らに帰って来るものとなり、“センス”の醸成に役立つものとなりましょう。


■行間を読み取る

本書執筆の配分は、太田氏が担当する章が7つあるのに対して、兵頭氏のそれは
4つと約半数ながらも、総頁数では、兵頭氏が最終章の軍事出版史を担ってい
るところから、太田氏よりも多い・・・という興味深い構成になっています。

内容に関しては・・・実践的な兵頭氏の論述に対して・・・太田氏の論述は、
太田氏が元内局、元官僚、民主党から参院選に出馬した・・・とかいう経歴を
有しているところから、本書中では、移民推奨の立場や北方領土に関する意見
の開陳などで、“あらぬ先入観や違和感”を持ってしまうところでありましょ
う。

しかし、先ずは“まえがき”のところにて、兵頭氏の言うことをじっくりかみ
しめてから、本書の文字と行間を読み取って行かなければならないのです。

即ち:
− わたしが太田氏の考えと一致しないところは無論多々あるのだけれども、
「統制経済」マンセーでない、という一点だけでも、わたしは時事コメンテー
ターとしての太田氏を高く買うのである。

若き吉田松陰は、だれであれ「寸善」がないことなどなく、それを見出して学
ばなければならない、という手本を示さなかったか?

「差分」にこそ有益な刺激がある。人が持っている「差分」の価値を汲み取れ
なくなったら、共同体が弱くなるのは当たり前である。

自由主義を一から考えようとする指向のある人に、もっと日本の論断で活躍し
て欲しいというのは、わたしの心からの願いなのだ。

そしてまた、この広い日本国の中で、太田氏を含めた数名の人しか、たぶんよ
く把握していないのではないかと思われる事象もあるだろう。 −


以上の文言を・・・本書を読み進める際の基本とすれば、属国として、そこか
らの自立=真の独立国になるに際しての危機に直面している我が国の足下が見
えてきて、千里の道の第一歩を踏み出す勇気も沸いてくるものでありましょう。


■では、簡潔に各章の解説に移りましょう。

まえがき(兵頭)

本書の企画意図について述べられています。上記の兵頭氏の文言は、よくよく
本書を熟読吟味する際、特に太田氏の執筆箇所を読み進める際には呉々も忘却
してはならない点でありましょう。


1 日本は自ら望んで米国の属国になっているだけ(太田)

さすがは内局、元官僚らしい理知的な論述が展開され、「自衛隊は使い物にな
らない」とハッキリ厳しく言い切っている点が読者には新鮮であり、日本の現
実を知り、今後どう改めればよいのか・・・という行動に移す際の良き参考と
なりましょう。


2 核武装「後」の日本の防衛(兵頭)

みなさんは、第一章で開陳されている日本の属国具合を踏まえて、主体的な国
家戦略の必要性としてのアイテム=核武装について戦略的思考から考察すると
興味深いでありましょう。


3 政権交代が日本の独立を回復させるメカニズム(太田)

日本の政治は、権益擁護政治であって、それは属国としての現状維持を計るこ
とに他ならず、これでは外交・安全保障が争点にはならないこと、また、この
ような現状を醸成したのは有権者であると指摘し、談合政権を止めて改革する
ためのメカニズムについて開陳されています。


4 ケネディ政権は日本の核武装を望んだか?(兵頭)

戦後の米国の政権と日本の政権との核武装相対性理論のような感じのする解説
が行われています。特に、ここでは、対米という観点から見るのではなく、本
当は、対シナという観点から観察すると大変興味深くなっています。戦後日本
の政治史、それに売国政治屋のシステム誕生秘話のようなものにもなっていて、
停滞せる日本政治を知るためには興味深い章になっています。


5 カナダはいかにして米国に併合されてしまったか(太田)

米国とカナダの関係を歴史的経緯から分析し、今は味方のカナダですが、長ら
く米国は敵視していたことが述べられています。また、戦前の米国とは、露骨
な帝国主義+有色人種偏見に凝り固まった制御なき資本主義国であり、むしろ
戦前から戦後にかけてのソ連と好一対の存在であったことを指摘しており、全
体的には “米国戦略史基礎概論”のような内容になっています。


6 「民主主義」インドはアジアの覇権国になれるのか?(太田)

インドだけではなく、インド亜大陸に関する分析として読み進めると良いでし
ょう。また、自由民主主義と主権者たる一般国民の幸福とは決して一致してい
ない点をいろいろな事例を引き合いに出しつつ指摘しています。


7 神功皇后と豊臣秀吉の対支戦略(兵頭)

『古事記』、『日本書記』成立の謎が日本戦略史の中で解明されています。
また、米国の属国からの自立とは、即ち、対特定アジアに関する問題解決=攻
撃と防御・対謀略を行うことに他ならず、日本がきちんとその問題解決が出来
るように歴史的経緯からじっくりと解説してくれています。


8 イスラム圏諸国はいつ世俗化するのか?(太田)

イスラム教の有する“暗”、“虚”といった点をズバズバと直言的に解析して
います。“国家概念”の意味構造がそもそも異なっている点に気がついていな
かったり、自分の意味を相手に強制することが問題である点を指摘しています。


9 移民を大量に受け入れれば良いことがある(太田)

本章は、兵頭氏の担当した第七章と比べるとみなさんの頭が「こんがらがる」
と思いますが、何故、太田氏がここで、特定アジアへのサービス、即ち、支那
人や朝鮮人の移民受け入れを推奨するのか(クルド人とかインド人とかもいる
でしょうに・・・また、日本人の人口増加はいらないのでしょうか?)、
勘ぐり・・・というよりは、深読みを是非とも行うべきでありましょう。


10 「北方領土を返せ」という要求は無理筋である(太田)

本章も引き続いて太田氏の意見に違和感を覚えるところでありましょう。何と
なくロシアへサービスしているような感じがしないでもありません。そもそも、
領土の保全など、全ては、一国の軍事と正比例するものであって、条約とは、
実力の有無でもって担保されることを考えると、現実を指摘しているようであ
りながら、そうではないような・・・ここもみなさんは深読みしてみてくださ
い。


11 敗戦後のわが国の軍事出版史をふりかえる(兵頭)

本邦初の試みであり、戦後日本の軍事研究に関する“ヒストリオグラフィー”
の基礎になると思われます。みなさんは、現在、自分が持っている“大東亜戦
争史” に関するいろいろな常識や定説を改めて点検する際、思考の上では大
変役に立つ章と思います。即ち、言語化しづらい、戦後軍事出版物の有する死
角と盲点を指摘しているからです。


あとがき(太田)

本書誕生の経緯が太田氏の立場から述べられ、今後の自分自身の展望について
語っています。


■防衛革命とは

本書は、太田氏の論述と兵頭氏の論述の二つの思考が順番に展開されているも
ので、双方共に日本の現状の改革に現実主義かつ合理主義で対抗しようとして
います。

しかし、現実主義、合理主義に忠実で「対抗から超越へ・・・これぞ革命」と
か感じさせるのは、兵頭氏の章だけで、太田氏の方となると、やはり元官僚の
試験秀才というか、旧軍の無責任参謀のような臭いや、結局、「戦う職業に非
らざる者」独特の悲しさというか、結局、「お城勤めはしたのでしょうが、あ
なたは侍さんではありませんよ」というような、武道心が無いのでは・・・と
伺われるところが無きにしも非ず・・・であり、本書の中での自衛隊への批判
もむなしく聞こえるものがありましょう。

しかし、このような太田氏による批判は批判として認め、太田氏が指摘してい
る日本の現実は偽りがなく、我々はこれを乗り越えなければなりません。

ここであなたが認識しなければならないことは・・・自衛隊だけが、己の身命
を楯にして国民の生命と財産を守る覚悟を決めている「戦う職業にある者」で
あり、「侍」であることは紛れもない真実であるということです。彼らこそ
武道心があるのです。

親戚にも自衛隊員がいて、有事の際には喜んで犠牲になることを厭わないと勤
務に励んでいますが、本書の出版を機会に、国防の問題は、自衛隊だけではな
く、国の問題として、むしろ、広く国民がみんなで総合的に取り組まなければ
ならないことを深く意識するようにならなければなりません。

最後に、防衛革命とは、「おかしな憲法の改正にあり!」ということが分かっ
て来る本でもあります。

そして、自民党も民主党も駄目で、現状からの“革命”をせねば・・・という
のなら、むしろ、日本は、武闘職にあるものが天皇をいただき幕府を開いた例
にも見られるように、思い切って、時限的に軍事政権を誕生させることも選択
肢にあげられることでしょう。

さまざまな法的整理をはじめ年金問題、医療問題、住宅問題、教育問題、防衛
都市構想に基づく地方自治の洗い直し、それに内務省や諜報機関の設置から、
機密保護関連法の制定、強制連行された在日外国人の帰国事業など、戦後あや
ふやにして来たツケをこの際に精算し、解決する時期に来ていることも考えら
れましょう。


このような明日の日本のことを考えさせるのが本書なのです。


(米田富彦)


本日ご紹介したのは

『属国の防衛革命』
著者:太田述正、兵頭二十八
出版社:光人社
総頁数 :231頁
定価:1,700円
発行日:2008/10/1
ISBN978-4-7698-1402-3 C9005

http://tinyurl.com/53m8h2

でした。


目次(括弧内は執筆者)

まえがき(兵頭)

1 日本は自ら望んで米国の属国になっているだけ(太田)

2 核武装「後」の日本の防衛(兵頭)

3 政権交代が日本の独立を回復させるメカニズム(太田)

4 ケネディ政権は日本の核武装を望んだか?(兵頭)

5 カナダはいかにして米国に併合されてしまったか(太田)

6 「民主主義」インドはアジアの覇権国になれるのか?(太田)

7 神功皇后と豊臣秀吉の対支戦略(兵頭)

8 イスラム圏諸国はいつ世俗化するのか?(太田)

9 移民を大量に受け入れれば良いことがある(太田)

10 「北方領土を返せ」という要求は無理筋である(太田)

11 敗戦後のわが国の軍事出版史をふりかえる(兵頭)

あとがき(太田)


本日ご紹介したのは

『属国の防衛革命』
著者:太田述正、兵頭二十八
出版社:光人社
総頁数 :231頁
定価:1,700円
発行日:2008/10/1
ISBN978-4-7698-1402-3 C9005

http://tinyurl.com/53m8h2

でした。

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